

入学を控えたお子さんに、
「もうすぐ一年生だね~♪楽しみだね~♪」
と語りかけるのはもう、決まり文句と言ってもいい程
極めてよく聞くセリフだ。
そして、園でも、家庭でも、外出先でも、
「しっかりしないとね。」
「ちゃんとできるかな。」
「頑張ってね。」
と悪気はなく2言目には言われてしまう。
我が家では、就学児健診に行けなくなった後、
『“春から小学生”関連キーワード』を禁止にし、
親戚の集まりに出向く前にも、
「うちの子、気が弱くてプレッシャーになっちゃうから言わないで。」
と頼んでおいた。


ランドセルも、同級生がこぞって夏休み中に購入する中、
我が家は冬休みが明けてもまだ買えなかった。
同居中は父親が買いに行く行くと言いながら
何度もすっぽかしたのもあったので、
父親に買ってほしくて渋っているのかな、
という懸念もあった。
しかし、注意深く様子をみていても
やっぱりどうやら
息子本人が買いたくないのだ。(^^;)
買わなかったら一年生にならなくて済む、
とまでは考えていないかもしれないが、
息子にとっては、『小学生になること』を考えたくもないらしい。
幼稚園に通っていた頃、
先生やご近所さん、クラスメイトのお母さん方からも
恐らく禁止ワードを盛んに浴びてきたのだろう。
「ボク、一年生無理なの…。」とよく呟いた。
しかし、私が勝手に選んでランドセルを買ってきても、
こだわり屋さんの息子は気に入らなければ使ってくれない。
ランドセルを買い直すのは、非常に家計に厳しい。厳しすぎる。
結局、よく行くショッピングモールのランドセル売り場を
私一人でまず下見し、
恐らく息子が欲しがる青系ランドセルを3種類選んでおいた。
後日、食品を買いに行ったついでにさりげなく…
『あらぁ!?こんな処にランドセルが~!』
とランドセル売り場に突入してから白々しく呟き、
予習しておいた3つのランドセルをサッと抱えて、
「どれがいいですか?」と息子の鼻先にズイッと並べて押し出す。
勢いに押された息子が指さしたランドセルをすぐさま試着させ、
「重くない?」と確認すると「ない!」とちょびっと嬉しそう。
「か~っこいい~!似合ってる~!いいわ~!」と褒めまくり、
まんざらでもない笑顔を息子が浮かべたところで
「これ、いいよね~。買っちゃう?」「うん。」
速攻でレジに持っていって支払い完了。
手に持って帰ると息子が嫌がる気がして、
自宅に配送してもらった。
ランドセル売り場にいたのはほんの数分。
早々にその場を離れた。
比較的息子にプレッシャーを与えずに無事購入完了。
自宅に届いてからも、箱に入れて押し入れにしまっておいた。
ランドセルがプレッシャーを与えると感じたからだ。
かくれんぼをしていて、押し入れに入った息子が
「これ、なんだ?」とワクワク箱を開けたけれど、
ランドセルと判るやいなや、静かに蓋を閉め、
「…しまっておいて。」と私に頼んだ。


入学まで、私は常に、
小学校に入ることは大したことではないんだ、
という姿勢を息子に示そうと思っていた。
入学式だって、休んだっていいんだ、
と私自身に言い聞かせていた。
(他のご家庭は指折り数えて楽しみに待つんだろうなあ)と
切なくなる気持ちも、正直に言えば、あった。
息子が寝てからランドセルを箱から引っ張り出して、
しみじみ眺めたりもしていた。
上靴入れ等を縫うのも、名前付けも息子が眠っている間にした。
仕上がったら、ランドセルと一緒にしまっておいた。
ウキウキイベントの筈の入学は
我が家にとっては立ちはだかる大きな壁のようだった。
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