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入園式は「固まるパニック」

2016.12.06.17:26



体育館に入ると、前半分に園児、後ろは保護者の席になっていた。
式が始まるまで、息子の席の横にずっとついていることにした。
面接では椅子の上で踊っていた息子だが、この時は席を立たず、
カチンコチンに固まって、口を一文字に結んで黙って座っていた。

今日から園児さんだから頑張ろう、って思っているのかな?と
微笑ましく思っていた私だが、
今思うと息子は「静かなパニック」になっていたのだろう。
かなり切羽詰った状態だったかもしれない。

式が始まる頃、にこやかな先生が
「私がついていますから大丈夫ですよ。」
と息子の傍らに座ってくれたので、
ここで長居をすると逆に息子が泣き出すと思い、
「じゃ、あとでね!頑張ってね!」
と言い終わらない内に保護者席へ走った。

後ろから見ていたら、
優しい先生が式の間中、声をかけてくれていたお陰で
息子は泣き出すことも離席もなく、なんとか式を終えた。





式後も親子分離になることはなく、
共に教室に移動して先生とお友達と集合してご挨拶。
また後日教室で会いましょう、と解散。

プロのカメラマンさんが家族写真を撮ってくれるというので
園庭に行列が出来ていた。私が並び、息子は遊具で遊んで待った。
小一時間並んで順番が来た時、息子はまだ遊び足らない!と
泣き叫んで遊具から離れなかった。

「誰もそんなことで泣いている子はいないなあ…。」
と、悲しい気持ちで結局私が列を離れ、
時間を掛けて息子をなだめてから最後尾に並び直して
なんとか写真を撮った。

今もその息子が泣きはらした顔の記念写真が残っている。
家族3人、誰も笑っていない。疲れ果てて困った顔だった。
他の家族は皆、終始笑っていて、私には眩しいくらいだった。

入園式ってこんなに辛いものかなあ。
ただただ、嬉しくて楽しい日だと思っていたのに。





◇今、診断を受けた母として思うこと-「入園式も制服も要らない」

息子は入園式に対して、
晴れがましい、とか、嬉しい、とかの意識はないんですよね。
非日常だし、その後の園生活とも全く違う一日で、
どうしたらいいか分からなくて、困惑する日。
園に慣れるためにはたいして役にもたたない一日。

私は、というと、まだ息子が発達障がいだとは思っていなかったし、
入園するのに入園式に行かないなんて有り得ない、と考えていた。
今思うと、入園式に出たいのは、単なる「親のエゴ」だった。

もし、やり直せるなら、制服なしか、体操服通園の園を選ぶし、
入園式はすっ飛ばして、2日目から通わせてもいい、と思う。
たとえ出席するとしても、
「嫌なら当日、休んでもいいよ。」という心構えで親がいれば、
それだけで息子ももっとリラックスできただろうに、と後悔している。


とにかく、何とか園生活はスタートした。


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入園式には行けるのか?家出発までイバラの道

2016.12.05.16:38



面接は単独で受けられたので、
他のお子さんと息子を比べる必要もなく、
息子に代わって謝らなければならない場面も少なく、
私にとって比較的悩みが少なくて済んだ。

息子にとっても、割とマイペースで過ごせたので癇癪を起こすこともなく、
園にマイナスイメージを抱くこともなかったようで、何よりだった。

面接後もまた、やっつけねばならないことが山積みだったお陰で
悩む暇がなかったので、結果的に私の精神が救われたように思う。





◇発達障がいの子を持つ母は、色んな心配をし対策を練るのだった

入園式はきっと手ごわい、と覚悟していた。
まず制服を着せるのが難関だ。
ボタンの多いブラウス、ボウネクタイ、
チャックにボタン、サスペンダーつきのズボン、
そしてまたボタン付きブレザー…。

…つらい、どれもこれも難しすぎる。
靴下すら自分で履けない息子にはチョモランマより高すぎる。
私が全て着せるのだけれど、
癇癪発生までに完了させるのが至難の技なのだ。

頭から被せて着せられる程度にボタンは全てはめておき、
着せる順番を何度もイメージトレーニングしていた。
息子に「制服を着るのはイヤ」というイメージを持たせてしまったら、
入園式当日、着なくなってしまうのが怖くて実際に着る練習はナシ。
見える所に飾って「かっこいいね~!着るの楽しみだね~!」
とだけ言い続けた。

そして制服に着替えられても、家を出発できるのか?
出発できても園に辿り着けるのか?
着いたとして式場に並んで座って入園式に無事出席できるのか?
親子分離で知らない人ばかりの教室に行けるのか?

あ~したらこ~して、そ~なったらこ~して、と
当日朝まで、イメージトレーニングに余念が無い母であった。





◇やはり難関!制服お着替えは甘くはなかった!

朝は私が起きると一緒に起きる子なので、その点は全く問題なし。
本音を言えば、私が家事と私自身の身支度を終えてから
息子が起きてくれると一番捗るのだが仕方がない。

何とかゴハン、歯磨き、トイレも着々と済ませ、
出発まで残り30分の時点でお着替えを残すのみ。
「さあ、かっこいい制服にお着替えしよっか♪」
と声をかけると息子が硬い表情で一言「イヤ。」とつぶやく。

…着替えしながら、嫌になるパターンは想像していたが、
はなっから嫌がられるとは思わなかったのでこちらもしばし閉口。

「え~っと、なんで嫌なのかなあ?凄く似合うよ?かっこいいじゃん?」
しかし息子の話術はまだ2語文がでれば上出来な頃だったので、
「そのお洋服、ヤなの。」「着たくないの。」という返事しか返ってこない。

不毛な説得が続き、あっという間に15分程過ぎた。
「とにかく、パジャマを脱いじゃおうね。」とこちょこちょしながら脱がせる。

バンザイ状態で瞬時にシャツとブラウスを一気に着せる。
かなりジタバタ嫌がりだすが、膝に座らせると同時にズボンも履かせる。
大暴れになったので片手で抱え上げながら、
残りの手でチャックとホックをとめる。
そのままブレザーの片手を通し、抱え上げる手を替えて、もう片方の袖も通す。

この時点でかなりボコボコに叩かれたり蹴られたりしているが、
あとはボウタイを着ければおしまい、頑張りどころだ。
抱えていた手を離して息子を降ろし、向き合ってサッとタイをつけて
「はい!出来上がり!よく出来たね~!カッコイイね~!」と大絶賛。

ブチッ!
息子がボウタイの首の紐を引きちぎった音が部屋に響き、
小さな手の両端にタイがブラ~ンと垂れ下がった。
留め金が外れただけなら良かったが、そうではなく、
布紐とゴム紐の繋ぎ目が裂けてしまっていた。





一瞬、本当に視界が真っ暗になった。
もうダメだ、休むか?遅刻するか?という考えがよぎった。

しかし、「今日は一生に一度の晴れの日、入園日」
という親の気持ちが ぐわ~っと湧いてきた。

幸い入園グッズを仕上げた裁縫道具が目の前にあり、
糸の通った針を手に取り、玉を作り、
ゴムと紐を縫い付けるのに10秒程で完了!

「よお~しっ、おでかけだ~!」と鼻息も荒く、勢いで息子を抱え、
玄関を走り抜け、車のチャイルドシートに座らせ
目にも留まらぬ速さでベルトも装着、即発進!!

私の勢いに押されたのか、息子はブツブツ呟きつつも、
走行中は落ち着いていた。
園につくとその飾り付けに目を奪われて、ケロッとご機嫌が治った。
何とか、時間ギリギリに園内に入り、式場にも入ることが出来た。

次は、式の間、泣かずに座っていられるのか、という課題が迫っていた。


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二度目の入園面接

2016.12.01.17:29





「新しい幼稚園を見に行こうね。先生ともお話するよ。」
と前もって息子には言っておいた。
かなりテンション高く歌うように語りかけ、
“楽しいイベントだね!”
というイメージを、ゴリゴリと刷り込むのを忘れない。

着ていく洋服についても、悩んだ末、白の長袖ポロシャツに、
紺のベスト、ボトムは紺の綿パンにした。
堅苦しいYシャツやズボンでは癇癪発生率が上がると考えたので、
少しはフォーマルに見え、でも着心地は良い
というコーディネイトを目指した結果だった。

着替えがままならない息子でも着替えやすい、という利点もあった。
ボタンはハメられない、靴下も履けない、靴も履けない状態での入園だった。





面接は午後にしてもらったので、身支度はゆっくり出来て助かった。
園内をまず見学させてもらう。春休みなので当然園児はいない。
スーツを着た副園長先生が園内を案内して回ってくれた。

プレに通っていた園とは違ってきれいな印象だった。
以前の園は終日裸足で過ごすので、
園庭から教室に入る時に足を一応拭くのだが、
どうしてもあちこちが砂でザラザラしていた。

プレに通っていた元気園には強気なジャイアン系キッズが多いので、
息子はやられっぱなしだった。
今回はもう少し大人しいお子さんが多いことを期待して選んだのだった。

先生方はキリッとしていて、髪も染めていない方ばかり。
普通の親御さんは安心するのだろうが、私はすでに少々心配になった。
ウチの子がみんなと同じようにちゃんと出来ない時に、
寛容に導いてくれるといいのだけれど…。

プレ園は教室にそれぞれトイレが併設されていて楽そうだったが、
この園は教室から離れていて、スリッパに履き替えて行くタイプ。
…きっと大変だけど、小学校もこのタイプなので慣れるしかないかな。





見学を終えて面接させてもらう。
半年前(業火に焼かれる思いの願書提出日)のデジャブだろうか、
息子は離席こそしないものの椅子の上に乗って半ば踊っていた。

息子が先生の質問に答えることは一度もなかった。
私が「◇△□…だよね、○○クン?」
と全て代弁した上で話を振っても私にも返事をすることはなく、
キャッキャと遊んでいた。

全く返事もせず顔も見ない息子に、
先生の顔がどんどん引きつりまくって、極限に達した頃、
息子との質疑応答はおしまい。
私も冷や汗かいてビショビショで限界、ホッとした。

私からの質問として、
トイレトレーニングは結局完了していなかったのでその旨を伝えると、
失敗して構わないから、パンツを履かせて登園させて下さい、とのこと。
みんな、失敗したら体操服などに着替えて帰るそうで、ホッとした。

入園することで無事互いに了解し、手続きに移った。

制服の試着は、他のお子さんがいなくて、
少々時間がかかっても以前よりは気楽で、助かった。
一斉、ではなく、個別面接というのは、
自閉症児にはとてもいい支援になると思う。

この日から数日後の入園式に備え、
荷解きできないダンボールに囲まれながら
入園グッズの仕上げや名前付けに忙殺される私であった。


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Author:beamed on
ようこそお越しくださいました。
同じ診断名のお子さんでも、特性は様々ですね。全くご参考にならないこともあるかと思いますが、こどもの笑顔を保ちつつ、できるだけ多くを吸収してくれたら、としてきたことを、綴っていきたいと思っています。

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