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障がいのフィルタリングとしての健診

2016.07.28.21:51

就学児健診の時に、私が必要以上に緊張していたのは、
小さい頃の定期健診で他の子にできることが息子にはできないという事実を
まざまざと思い知らされてきたからかもしれない。

私自身も息子の言葉の遅れを指摘されるのを恐れていたので
職員に素直に助けを求められなかったり、
その後切羽詰まってきて助けを求めた時には受け入れてもらえなかったり、
健診には、本当に悩まされ、翻弄された。

3ヶ月健診に行った時はまだ、
「うちの子ってよく泣くよなあ」「みんなお利口さんだなあ」、
「他のお母さん達の方が育児が楽そうだなあ。」、
と思った程度だった。

思えば、すでに息子とは目線が合わなかったし、
抱っこしてもしがみつく事がなく、手はいつもぶらぶら下に下げていた。

一歳半健診では、息子は歩くのがやっとで、質問にも答えられないし、
脱ぎ着がままならないし、診察も大騒ぎだし、
発語が少なすぎることもついに指摘された。

その時の私はとっさに大声で言い返した。
「うちの子はのんびりした性格なんです。余計な心配をしないで下さい。」
今思えば、この時から療育をしていたら、
うちの子ももっと楽に暮らしていたかもしれない。
でも、この時はとんでもない言い掛かりをつけられたようにしか思えなかった。

保健所からもその日は何も言われず、半年経ったら書簡で、
話せるようになった言葉を記入して返送して下さい、と書類が届いた。
書き込んで返送すると、その後特に連絡はなかった。

三歳児健診の時にはもう、逆に相談にのってほしいと思っていた。
職員の方も、では詳しい相談をすぐしましょう、と仰ってくださったが、
急な転勤で他県へ引っ越しせねばならなくなり、叶わなかった。

引越し先の自治体では、三歳半健診というのが行われており、その頃には
既に年少入園した息子が集団生活についていけない事が明白になっていた。
内科検診をしてくれた小児科医に言葉の遅れを相談すると、
「あんた、読み聞かせとかちゃんとしてんの?
 聞いてなくても遊んでる横でずっと読まないと。」
と叱られただけだった。

『個人的に相談したい方はお残り下さい』と言われ、
2時間近くご機嫌の悪い息子をなだめながら待った。
「確かに言葉の遅れがあるわね。
園でも大人しいから問題視されないだろうけど、
本人は相当困っているかもね。」と困り感を認めてくださった。

「でもほら、お母さん、上手くやれそうだし、
半年後お電話するから様子を聞かせてね。」
と言語訓練の初歩アドバイスだけして面談を打ち切られた。
崖っぷちで救いを求めて伸ばした手をキャッチしてくれたのに、
結局突き落とされた気持ちだった。

健診所が遠くて、数十分バスに乗っている間、
他のお子さんの30倍くらい大きな声で泣き叫ぶ息子を
白い目で見られながらなだめ続けていた。
ようやく下車した時、息子を抱っこしたまま
私が声を上げて泣いてしまった。

もうギリギリ限界だから助けを求めたのに、
まだ大丈夫、もっと自分で頑張れと言われてしまった。
息子がペシペシ私の頭を叩くので、泣きじゃくりながら顔をみると
「よしよし。よしよし。」と小さく一生懸命呟いていた。
私の頭を撫でてくれていたのだ。
「ごめんね。ごめんね。」といいながら、泣きながら帰途についた。

しかし、このあと1ヶ月程で園の先生から
療育相談に行きませんかとお話を貰った。
「指示が全く通りません。もうお手上げです。」
でも健診で断られたんです、と伝えると、
「園から頼んでみますので、お待ち下さい」と仰ってすぐ、
拍子抜けするほどあっさりと検査やグループワークの予定が決定した。

第三者に療育が必要と判断されることが、
療育を受ける資格というか、優先順位UPの条件なのかもしれない。
でも、それならうちの子のような境界域の子にとって
健診は早期療育の入り口にならないのではないか。
より多くのお子さんが早く支援を受けられるようになることを願ってやまない。




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就学前の学習支援② ~家庭編~

2016.07.21.17:19

息子はお絵描き中に、思いついたように
ひらがなも絵のように描くことがあった。
そこで、下手くそながら私がウルトラ兄弟を描いてみせて、
その横に名前を書くことから始めてみた。
他の絵もどんどん描いて名を併記する、を繰り返した。

そうすると、息子も一緒にちょこちょこ書くようになってくる。
テレビ大好きな息子なので、番組タイトルやキャラの名前は喜んで書くのだ。
そこで、見たいテレビの番組名を書けたら見ていいよ、
というルールを作った。
これには喜んでのってくれて、時には私にお手本を書いて~と頼みながら、
大好きな番組は殆ど覚えて書けるようになった。
…しかし、番組名に使われない文字は全く覚えられない(^^;)

息子の発語が少ないので、INPUTになればと、
このころの私は一人でずーっと喋っていた。
「テーブルの上に鉛筆を置いたよ~。」
「椅子から立ち上がったよ。あっちに行って、本棚から本をとるよ。」
ほとんど実況中継だった。
こういう行動を言葉で表すには、こういう表現をすればいい、
というサンプルを与えたかった。

それに加えて、物に名前を書いた紙を貼っていった。
「テーブル」「いす」「てれび」「でんわ」「たんす」…。
これはもう、書けなくてもいいから、
読める程度に覚えて欲しいと思ってやっていた。

視覚化の一環として、文具を透明のアクリル引出にしまっていたのだが、
文字が読めないのでラベルはつけていなかった。
それもこの機会に仮名でラベリングしてみた。
名前を知っている物の字を知るのはとても有効だと思った。
息子も面白がって読んでみせてくれた。

散歩しながら、看板をみて「うどん!」等と拾い読みもできるようになった。

時計も読めた方が集団生活で助かるだろうと、
年少位から時計を見ながら時間を教えたりしてきたりしてきたが、
「長い針が6の処にきたら、○○しよう」という指示もままならなかった。
時計を読めるようになるまで、更に数年を要した。

算数に関しては、とにかく数字を数える機会を増やした。
物を数える、お風呂に浸かる時間を数える、縄跳びを数えながら跳ぶ…。
お風呂に数字表を貼って、読み方も覚えてもらう。
1から10を正しく数えられるようになるまで、かなりの時間を要した。
入学に間に合わなくていいから、とにかく続けてみよう、
と長期戦を覚悟で、気長に臨んだ。

ウチの子は何百万回言っても覚えられないけど、
何千万回、または何億回言うと、覚えられる時がある。
もうダメだ、と思ったその後、しばらくするとできていたりする。
脳の中に、スムーズに記憶するのを妨げる障りがあるらしいからね。
時間がかかるけどいつかはできる、と私は確信できるようになっていた。

焦りを感じなくなったせいか、楽しみながら息子と一緒に取り組めた。
時にはドリルを持ち出しても、やりたい!と言ってくれるようになった。

他のお子さんには敵わないけれど、
同じスピードではついていけないけど、
いつになってもいいから最低限社会生活に必要な知識を身につけてほしい。
そんなふうに受け容れることができるようになっていった。


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就学前の学習支援① ~塾探し~

2016.07.20.17:09

診断が下ると同時に、
「勉強では苦労すると思います。
今からできることを始めておいて下さい。」
と医師から話があった。
「家が特訓の場になっては本人が安らげません。
無理をせず、塾などの外注にどんどん頼って下さい。」
とも。

実はこどもちゃれんじをぷちから受講していたが、全く興味を示さない。
教材をしまっておいて、結局半年~一年経つとちょうどヤル気になる。
まだまだとても文字や数字の学習に入るレベルではないのだ…。

書店に売られているドリルを買って誘ってみるものの、
やはり全く乗ってこない。
手を替え品を替えやってみても効果はない。
こちらは、「学校で苦労させない為には今やらねば」という焦りから、
だんだんイライラしてきてしまう。

このままではマズイ。お医者様の言う通り、ここは外注だ!

早速、近所の公文に見学を申し入れ、息子を連れて見学に行った。
沢山のお子さんがタイマーを睨みながらガリガリと問題を解いていた。
一言で公文といっても、各教室で色々特色も違うのだろうが、
うちの子にはタイムレースで問題を解く前に、理解が不可欠。
もう少し大きくなったらまた相談します、と帰宅した。

公文より学研の方がゆったりしたペースの印象があった。
そこで、近所の学研教室にも見学を申し込んだ。
明るいお宅の一室で数人のお子さんが和気あいあいと勉強している雰囲気が
息子も楽しそうと感じたらしく、まずはお試しで数回通うことになった。

無理をさせては続きませんし、
言葉が遅いので年少さん位のレベルで結構ですので、
のんびりやらせて下さい、とお願いした。

結果的には2ヶ月程通った処で、休学することになった。
週二回、宿題も多いので、まず宿題はなくしてもらった。
どうも息子の負担が重いようなので、
週一回に替えてもらおうと思っていた矢先、
教室に向かう道すがらでパニックを起こした。

どうやら、ウチの子が集中できずに立ち歩き、
それを防ぐために机で囲って動けないようにし、
ひたすら年長レベルに引き上げようと先生が頑張りすぎたらしい。

私の伝え方が甘かったのだ。
息子は頑張っても、一足飛びには吸収できない。
先生にとっては想像を絶する遅々としたペースだったに違いない。
それでも、少しずつ確実に成長はできるのだが、
先生にはそうは思えなかったのだろう。

休学中も先生と息子、両方と話をしたが、結局退会した。
その旨を電話で告げると、先生から
そんなに甘やかして、お子さんの為にならないと諭された。
「誰よりも私が一番続けさせてやりたいと願っていたんですよ‼」
と力任せに電話を切ってしまった。

大人げない言動で情けない。
息子の指導方法をお願いするには、
もっと慎重に、綿密に準備して伝えなくてはならない、
と私が学習した形になった。

そんな時、ネットで発達障がい児専門の学習塾を発見した。
これなら、理解もあり、学ばせるノウハウも持っているかもしれない、と
早速はりきってお試し4回コースを申し込んだ。

先生と2人きりの個室で、他に気が散ることはない。
凄い量のプリントをこなさせ、休憩中はゲームもする。

もう少しゲーム感覚で問題を解いたり、
楽しい雰囲気でないと続かないかもしれない、と伝えると、
プリント学習は変わらず、休憩のゲームの回数だけが増えた。
そうなると、ゲームしかしたがらない息子。

毎回、終わってから塾の傍の遊び場で遊んだり、ご褒美にガチャをしたりして
なんとか4回は通ったが、「もう絶対行かない」と息子から宣言されて、終了…。

息子が境界域だからなのか、
どんなに話をしても塾のスタッフと理解し合えなかった。
結局、塾探しはお休みし、入学まで家でできることをする、しかなくなった。




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個別就学児健診

2016.07.19.15:04

あの小児科医の仕打ち(→「せめて小児科医には理解してほしい」)自体には、数日経つと腹が立ってきた。
落ち込むな、私。
人として間違っているのはあちらの方だ。
インフルエンザ予防接種を予約していたのを取り消して、
「今までお世話になりました」とだけ電話で告げた。

しかし、「これから息子はああいう扱いを山ほど受けるのだろう」と
確信めいたものを感じてしまい、そのことにどっぷり落ち込んだ。

息子自身は何を言われたのか分かっていないのが救いだった。
とにかく、就学児健診を終える為には、
あと眼科と歯科に行かねばならない。

心配した割に眼科には割と抵抗なく出掛け、
待ち時間は絵本を読み聞かせたり、塗り絵をしたりして難なく過ごせた。
視力検査も右・左と言う代わりに腕を伸ばして指し、
看護師さんが「上手ね~。」と褒めて下さったお陰で、
リラックスしてお行儀よく診察も終えた。

歯科は、アニメDVDを眺めながら診察が受けることができ、
広い子ども専用待合室には玩具いっぱい、
診察後はご褒美としてガチャガチャでおもちゃを貰えるという、
おもてなしたっぷりの医院に出掛けた。

息子は偏食が酷いのだが、恐らく口腔に感覚過敏があるのだろう。
歯磨きも大っ嫌い。大口を開けて歯をいじられるのは大変な苦痛なのだ。

この日も診察台に横たわるのも口を開けるのも完全拒否だった。
看護師3人が押さえつけながら
「これをやらないと1年生になれないよ!!」と金切り声を挙げた。

「そんなことないよ。大丈夫だよ。頑張ってるね。上手だね。あと少しだよ。」
私は息子の手を握って、看護師の言葉をかき消すべく 叫び続けた。

看護師に悪意はないと思う。
他のお子さんなら、その声かけでちゃんとできるかもしれない。
でもうちの子には『1年生になれない』という言葉しか残らない。
○○しないと□□できないよ、は理解できないし、イメージできない。
そして、本当に1年生にしてもらえない、と思ってしまう。
とっても残酷な言葉なのだ。

たぶん、診断名を知らせたことで、逆に強硬手段に出られた印象もあった。
理解ある医師は、何も言わなくても、障がいがないお子さんにさえも
ユニバーサルデザインの素敵な対応が自ずとできている。
ウチの子も落ち着いて、問題行動に出ることもない。
理解できない医師に診断名を伝えても、何一つ良い事は起きない。

何とか3科の診察を終え、学校にでかけた。
園に迎えに行って、直接タクシーで学校へ向かった。
家に帰ってから出かけるとまた玄関先でパニックになってしまう気がしたからだ。
実際、何も考える間を与えずに学校へ連れて行くと、
校門で先生方が笑顔で待っていてくれて、
先生に駆け寄って行く息子が、結果的に す~っと学校に入ることができた。

聴力検査は、聞こえたらボタンを押す、というのがなかなかできず、
ボタンの代わりに手を挙げる、という形で行われた。
2つ以上の動作をするのが非常に難しい息子。
何度かやって、本当に聞こえたタイミングかどうか非常に怪しい感じだったが、
手を挙げたり、「聴こえた♪」と言ったり、表情で伝えたりして、
「聴こえてはいるらしい」という判断をしていただいて、なんとか終了。

先生方には別途お時間を割いてもらって、本当に恐縮したが、
マンツーマンで聴力検査や保健の先生との面談をしてもらったのは
息子には大変有難かった。
小児科や歯科で冷遇に遭った後で、学校の温かい姿勢がしみじみ嬉しかった。

これで、嵐のようだった就学活動は一段落したといえそうだ。
でも、入学準備はまだまだ色々山積みだ。


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せめて小児科医には理解してほしい

2016.07.11.14:52

就学児健診前、私、やっぱり気合が入っていたかも。
説明に熱が入りすぎていて、それが息子に圧力を掛けちゃったのかも。
欠席してもいいんだよ、位に思った方が逆に出席できるかも。
…ああ、私ってまだまだ、ダメ母ね。

反省に基づき、まずは小児科に、『いつもと変わらない雰囲気で』出掛けることにした。

息子はいつ呼ばれるのか分からない医院では待ち切れずに大パニックになる。
なので、予約でき、あと何人で呼ばれるかネットでわかり、
待合にアニメDVDが流れ、玩具も沢山ある小児科をかかりつけにしていた。

しかし、おもちゃのやり取りが、私を仲介しても上手くできない。
無事遊べても、今度は夢中になりすぎて順番が来ても診察室に入れない。
私がネットで順番を睨みながら、カウントダウンし続けるがなかなか難しい。
息子は玩具目当てで医院に来ており、受診は2の次なのだから、親は毎回大変。

そして最大の難点は、ここの医師が子どもの扱いが上手くないこと。
隣の学区の校医で、病児保育所も併設しており、
『優しい』先生という子育て雑誌の記事を見て通い始めたのだけれど…。

笑顔で優しく誘導、ということが皆無の先生。
行く度に先生の態度がキツくなってキーキー叱られるようになった。
緊張すると、ますます段取り良くできなかったり、興奮してしまう息子。

他所の医院に替わろうと思っていたけれど、
もうすぐF校学区に引っ越すし、今は急いで学校に受診結果を提出せねば、
と、ほぼ最後の受診と思って訪れたのだった。

書類に「自閉症スペクトラム」と記入してあったのを医師が見つけて、
「あら、どの程度なの?」と尋ねられた。
校医をしてらっしゃるだけに知識はあるんだ、と思い込み、
IQなどを告げ、パニックで健診を欠席した事も伝えると、
解ったような怪訝なような顔をして、ふ~ん、とだけ。

そして、おもむろに息子に向き直ると、大声で叫んだ。
「これは就学児健診よ!はい、キョーツケ!きょうつけったら!!」

いやいや、私、いつもの受診だと思わせて連れてきていますから、
そう言われましても息子には分かりません…、
と説明しても聞いてくれる雰囲気じゃないな、と思った私は、
早く終わらせるべく、息子をせかして座らせてお腹をめくらせた。

プンプンしながらも女医さんは聴診器を当て、「異常なし、っと。」
と口にだしながら書類に書き込んだ後、私に向き直って、言い放った。

「…とは言っても、ねえ~え?(笑)」

鼻で笑いながら、自閉症スペクトラムの診断名をペンでコンコンつつきながら
ゆがんだ笑顔を私に見せた。

( 『異常アリ』よね!実際は! )  と言いたげだった。



その後しばらくの記憶がない。



息子の夕食を下げて、皿洗いをしながら、
息子がTVに夢中になっている背中を見つめながら、
すすぎの水を太く、太く出して、声を殺して泣いてしまった。

今は以前よりはよくなったかもしれないけれど、
小児科医に発達の相談をしたいお母さんが多いのに、まだまだ難しい状況だ。
小児に関わる重要な医学として児童精神医学の分野も理解してほしいと切に思う。
子供達を救いたいという思いで、小児科医を目指してくれた筈だから。


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就学児健診を欠席…

2016.07.08.17:02

いくつも学校を私と一緒に見学した息子にとって、
もう学校の敷居は全く高くない、と思われた。
後は、事前に息子が安心できるように説明しておけば大丈夫、
と私は安心しきっていた。

イラスト集から心電図のやり方を探してきて見せてみたり、
上級生が手をつないで一緒に回ってくれるよ、と言ったり、
視力検査や聴力検査ごっこをしたりしてみた。
息子は楽しそうに心構えをしてくれているように思っていた。

健診当日、息子のご機嫌も崩れることなく、
着替えやすい、着心地もいい物を着せて、
靴も履いて、準備も順調にできた。
よし、行こう!と玄関のドアノブに手を掛けた時、
息子が低い、小さい声でボソッと言った。
「ボク、行かない。」

一瞬、何が起きてるのかよく分からなかった。
行きたくないなら、
事前に説明してる時から拒否反応があるものと思っていたので、
私としては、“寝耳に水”な事態である。

「…え~っと、何か心配なのかな?お母さんも一緒だから大丈夫だよ。」
と言い終わらない内に、
息子がノブに掛けた私の手を力いっぱい振り払い、地団駄踏んで泣き出した。

ビックリしつつも、この乱れ様ではもう行けないな、と悟った。

「わかった、行くのやめるよ。大丈夫。お靴脱いでね。」
と告げて、先にリビングに戻り、学校に欠席連絡の電話を入れた。
私の落ち込み様と、背後で泣き叫ぶ息子の声に、
先生もかける言葉がなかったと思うが、
また夕方今後の事でご案内致します、と言われて、切った。

振り返ると息子がもう何もなかったかのように玩具で遊んでいた。
「学校、怖かった?」
と聞くと、
「お友達、沢山すぎるの いやなの。」
と言った。

園の、息子の組のお友達と、隣の組のお友達と同じ位の人数が来るよ、
と言ってあったのだが、彼がそれを大人数と捉えるとは思っていなかった。
説明の表現が分かりにくかっただろうか。

もしかしたら、何も言わないで連れて行った方が案外平気だったのだろうか。
健康診断について説明したので、
本人の中でかえってプレッシャーが募ったかもしれない。
でもなあ、心電図は説明しておかなかったら、
現場でパニック必至だろうしなあ。

まだまだ、私の読みが甘かった…。
本人は、行かなきゃ、と思って頑張っていたのかもしれないな。
でも、やっぱり無理、ってぎりぎりで思ったんだろうな。

息子が無理、ということはどうしても無理なのだ、
というのは理解できるようになったのだが、
だからといって、皆が出席しているものを堂々と欠席できる程慣れてはいない。

何だか、どっと疲れた。
数時間、遊んでいる息子の傍で何もせずに突っ伏していた。

夕方、先生からの電話でようやく起き上がった。
健診の欠席者は自分で内科、眼科、歯科へ出かけて個々の健診を受け、
一週間後、その結果書類を学校に持参して、
残りの聴力検査などを受けることになった。
心電図は先送りとなり、受けなくてもよくなったのは救いだった。

しかし、医者嫌いの息子を一週間で3つも病院に連れて行くって…
履行不可能ミッションっぽい…。


非常に共感できるところが多かったです。↓

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就学先決定

2016.07.05.17:33

私の中ではF校に決まりつつあった。
しかし、この決断は息子の人生において重大なもの。
間違いのないように、頭を整理しながら考えを巡らせていた。

F校ならば、
しっかりした通級の先生の支援を得ながら通常学級に在籍し、
学習支援も受けられる。
始めから支援級在籍、または通常学級から移籍することになっても、
支援級の先生や有り様がとてもいい雰囲気で安心できる。
教頭の理解ある姿勢も感じられ、
通常学級の担任やその他にも配慮をしていただける気がする。
学校全体が、児童が思ったことを先生に話せるし、
先生がそれを受容する雰囲気がある。
規則だから、他の学校もこうだから、ということでなく、
問題が起きても、それに合った対応をしてくれる体制だと感じる。
何より、この学校に楽しく通う息子のイメージがはっきり頭に浮かんだのだ。

息子の意思も確認した。
息子は楽しいか、好きか嫌いか、しか判断材料がない。
意思を聞く前に、息子の希望だけでは決められない事、
息子が楽しく学校にいけるようにお母さんが一生懸命考えて最終的に決めるね、
ということは伝えておいた。
ただ、「絶対嫌」な学校に息子が行くのは不可能だ。それを確認したかった。
「Dかなぁ…Fかなぁ…」
その後何度か聞いても答えは変わらず、どちらでも大丈夫と判断した。
F校にしたいと思う、と伝えても、息子は「ふ~ん、いいよ」という感じだった。

「F校のお歌を歌っていたクラス(支援級)と
工作していたクラス(通常学級)とどっちがいい?」
と聞いてみたが、「お歌、いや!」と答えた。
「ずっとお歌歌わないよ。他にも楽しいことするよ」と確認すると、
「ううん、少ないの嫌」と言う。
「お友達がもっといて欲しい?」
「うん。」
この頃の息子のボキャブラリーでは、これ位のやり取りが精一杯だった。
何度か似たような問いかけをしたが、答えは変わらなかった。

人に交わってコミュニケーション力をつけて欲しいというのも私の希望であった。
息子も人が嫌いではないので、通常学級に入りたいとの意思表示と受け取った。

結局、通常学級でスタートに決めた。
しかし、精神的に追い詰められたりしないよう、
常に息子の状態を注意深く見守っていかねばならないだろう。

大事なのは通常学級に居続けることではない。
うちの子がニコニコ学校に通って
勉強だけでなく生きていくのに大切な事を学ぶことだ。

F校にお電話で、御校の通常学級で通級も受講させて頂きたい旨をお伝えし、
今後もどうぞ息子をよろしくお願い申し上げます、と最敬礼した。
教頭は歓迎してくださり、迫る就学児健診について教えて下さった。

A校やD校にも御礼を申し上げた上、
息子には最も合っていると思うので、と、F校に決めた事をお伝えした。
両校とも温かく了承して下さった。
正直、恨み言など言われても仕方がないと思っていたが
全くそんな素振りもなく、大変有難かった。

子どもの事を理解し、教育熱心な学校が沢山ある、ということは
不器用な息子をとりまく世の中はまだまだ温かい、と感じられて、
なんだか、とても許されたような気持になった。
縮こまらずに、大手を振って親子で歩いて行こう!と
元気が湧いてくる思いだった。
学校を選ぼうなんて偉そうに、我儘かな、
という気持ちで始めた就学活動だったけど、折れずにTryしてよかった。

色んな学校があるし、色んな特性のお子さんがいる。
通常学級で通級を受けなくても担任の配慮で大丈夫なお子さんもいるだろう。
通級が通う学校に無くて他校に通うことになっても
それで充分のお子さんもいるだろう。
支援級で過ごすのが楽しいお子さんも、
支援学校で過ごすのが楽しいお子さんも。

自分の子の性格や特性、学校の方針、校風と児童の雰囲気、校舎の造り、
通級の先生とお子さんの相性、支援級のクラスメイトになるお子さん達、先生方…
ありとあらゆる要素が掛け算になり、割り算になり、評価が変わる。
評判のいい学校が自分の子に最適な学校とは限らないし、
あるお子さんにとって凄くいい学校が
ウチの子にとってはいい学校ではなくなることもあるだろう。

最初は「こんな大事な事、私には決められない。誰か決めてよ~!」
と叫びたい気持ちだった。

でも、就学活動をやってみて思うのは、やはり、
事前に学校を親子で訪ねて、100点満点ではなくても、この学校に賭けたい、
と思える学校を探す機会を貰えたのは、本当に幸運だったということ。

そして、入学はまさにスタートラインでしかなく、
実際に通ってからまた、試行錯誤して息子が笑顔で通えるように
努力していかねばならないこと。

学校を探して必死に過ごしている内に季節は飛び去り、
もう冬を迎えようとしていた。


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F校訪問 ⑤

2016.07.01.17:29

通級の先生の説明が終わると教頭から尋ねられた。
「支援級在籍者は療育手帳を持つお子さんだけに現状はなっているが、
お母さまのご希望次第です。どちらをお望みですか?」

私は正直に答えた。
「通級を受けながら通常学級に身を置くのがいいのか、
支援級にいて指導をうけるのがいいのか、
どっちが息子にとっていいのか実はよく分からない。

人が嫌いな子ではないので、将来就業する為にも、
できる限り人と交わって、コミュニケーション力を磨かせたいので、
通常学級でスタートさせたい気もする。

しかし、あまりにも勉強についていけなかったり、
人に交わり切れずに精神的に疲弊させたりする事は望んでいない。
通常学級で自己肯定感を失ってから支援級に移るより、
最初から支援級に入れた方がいいのだろうか、とも迷っている。

一方、支援級では精神的に安定するだろうけれども、
人に交わったり刺激を受けたりして成長する機会が少し減る懸念がある。
私は息子のことしか見ていないが、
沢山のお子さんを見てきていらっしゃる先生方のご意見も伺いたい。」

と私の話を全部聞いてから、教頭は
「確かにニコニコ笑顔で接してくれるお子さんですよね。」
と、言ってくださってから、続けた。

「低学年は学習もそんなに難しくはないと思われますので、
まずは通常学級で様子を見るというのはどうでしょう。」

そして、一呼吸置いてから付け加えた。
「通級での学習支援も今はしていませんが、今後やってもいいと思っていますよ。」

通級で学習支援をしてくれる、と言ってくれた学校は、F校が初めてだった。

この日の見学相談は、嬉しい驚きの連続だった。

ウチの子は運動音痴だが、スキップは最初から何故か上手にできた。
先生方に手を振って門をでてから
スキップしだした息子と
手をつないで私もスキップしながら帰途についた。


ウチの子は電動のを買ってほしいみたいなんですが(苦笑)、敢えて手首の運動として手動を使ってます。↓

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プロフィール

beamed on

Author:beamed on
ようこそお越しくださいました。
同じ診断名のお子さんでも、特性は様々ですね。全くご参考にならないこともあるかと思いますが、こどもの笑顔を保ちつつ、できるだけ多くを吸収してくれたら、としてきたことを、綴っていきたいと思っています。

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