診断 下る
2016.05.31.17:34
「病院に行くと診断が下ってしまうでしょ、勇気ありますね。」と言われた。
「どういうこと?」と尋ね返した私。
色々お話ししてみると、どうやら次のような事情らしい。
療育センターに通う時点で、大抵の家族が発達障がいの可能性を確信していて、
でもデリケートな問題なので、療育センターは診断名を断言しないものらしい。
療育センター利用者もそれを歓迎していて、
名言してしまう病院に行くのは避ける、ということらしいのだ。
そういうことだったんだ。
ただ、ことばの教室に通えばいいと思って、
全く発達障がいは疑ってなかった私って…とってもボケボケだったのね。
ひどく情けない気持ちになった。
でも、ウチの子の場合は診断名が下った方が支援を得やすいのではないだろうか。
お友達に暴力を振るうことも、園を脱走することもない。
学級運営に支障がない分、困っていても放って置かれる。
事実、通級受講を断られているし。でも、本人はこの上なく困っているのだ。
どうぞ診断名教えてください、という気持ちだった。
本当に、その時はそのつもりだった。
検査結果は、私一人で聞きに行った。
パニックが前より治まってきたことのお礼などを話した後、
少し姿勢を正してから医師が「この前の検査結果ですが…」と切り出した。
『自閉症スペクトラム 境界知能 発達性協調運動障害』
と一行目に書かれた紙を指し示しながら、先生が話し始めた。
冷静なつもりだったが、キーンと耳鳴りがして、先生の声が遠ざかった。
あれれれ、ちゃんとお話を聞かなくちゃ、と思うのだが、
殴られたみたいに頭がクラクラする。
何とか紙に書かれていることと、先生のお話して下さっていることを
照合させて、それ以外のお話はとにかく機械的にメモを取って、
自分の感情は置き去りにしたまま必要な作業だけをこなし、
医師に礼をして退出した。
どうやって家にたどり着いたのか、よく覚えていない。
その日は、バッグに入れた診断名の書かれた紙は取り出さないまま、
いつもどおりの家事をし、子どもと過ごし、寝た。
覚悟が足りなかったのだろうか。
爆風に吹き飛ばされて、打ちつけられて体が動かないような、
そんな気持ちだった。
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