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小1プロブレムと親権と就業と

2017.07.06.16:49



シングルマザーになることを選ばざるを得なくなった時、
一番不安だったのは、
息子の精神の安定を保ったまま生計も立てねばならない、
ということ。

実家に帰ることができないので、
家賃や家計費を稼ぐのも私、
息子のフォローも私一人。

専業主婦であった時も息子のことは私がしていたのだが、
てんてこまいだったし、人に預けるのも難しい子だった。

健常児の子だったら
不便や寂しさを堪えて一緒に頑張ってほしい、
と懇願して、私も耐えて長時間働いたのだろうか。
しかし、ウチの息子にそれを望むのは…。

それに、健常児ですら『小1プロブレム』が懸念されている昨今。
我が家は超ド級のクライシスに備える必要がある。

別居時には婚姻費、離婚後は養育費を貰う権利はあるのだが、
息子の父親は払う気が全くない。
そして裁判所も実際には強制する術がなく…。

更に、調停では親権を争っていたので
息子が不安定になったら、私の責任が問われる可能性があった。

私としては、息子がどうしても学校に順応できなかったら
例えば、不登校になっても仕方ないと腹をくくっていたが、
それを家庭裁判所が私の監護能力不足と
判断してしまう懸念があった。

学校生活に慣れるまで就業しなかったら、それはそれで
勤労意欲のない奴は親として不適格だ!と
モラハラ元夫の喜々として攻撃する顔が目に浮かぶ。
自分のことは棚に上げて、だが。

息子の満足がいくように
私のサポート体制を敷きたいのだが、
その結果、親権を失っては、
息子の支援ができない父親に息子を奪われてしまう。

親権を守るための暮らしをすると
無理をさせて息子が壊れてしまう可能性がある。
とにかく、私はただ息子を守りたいだけなのだが、
どう転んでも苦しい状況に追いこまれた気分だった。





悶々と悩みながら職探しを始めた頃、
別居後延期していた息子の大学病院の診察に
久しぶりに出向いた。

診察日に元夫が乗り込んでくるといけないので
事情を話して予約日を変えてもらった経緯もあり、
医師は息子の様子を心配して下さった。

拍子抜けするほどニコニコして
パニックも起きなくなったんです
と告げると医師は喜んでくれた。

臨床経験が豊富な、とても理解のある医師で、
周囲の人が息子を理解してくれなくても
この先生は分かってくれるし、
困りごとの解決策もいつも授けてくれる。

しかし、今回は私の悩みをちゃんとは言えずにいた。
小学校生活についていけるか心配です、とまでしか。

すると、その医師からこう告げられた。

「お仕事をしなくてはならないのでしょうが、
 入学後、少なくとも半年は働かずに家に居て
 お子さんを見守ってあげて下さい。」

更に医師は裁判所宛に息子の診断書をしたためてくれて、
「保護者は入学後最低半年間、就業せずに自宅で支援すべき」
とそこには記されていた。

随分悩まされていたが、
この一文のお陰で裁判所もあっさりと納得してくれて、
私も息子のサポートをまずは半年、
堂々とできることが認められた。

私も割り切って貯金を削って暮らすことにし、
息子を見守る生活に入学後半年は専念できることになった。


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新しい苗字とマイノリティ所属

2017.06.22.16:23





入園・入学手続きをする役所の方から、
「離婚を前提とした別居なら、
離婚後の姓で通園・通学しますか?」
との提案が。

「そんなこと可能なのですか!?」
と食い気味に大声で尋ねると、また笑顔で頷かれた。

離婚成立した時点で姓名を変えたら、
本人もクラスメイトも困惑するかな?
わざわざ離婚したことを発表するのも何だし、
息子も切り替えがより難しいかもしれない。
最初から私の旧姓にしておけたら、
正直助かるなあ。





結局、入園・入学手続き共に私の旧姓で登録していただいた。

さて、息子にはなんと説明しようかな、と迷った。
発語の少ない息子は、「お名前は?」と聞かれて
ようやくたま~に姓名を言えるようになった処。

とはいえ、そんなに慣れてもいないから、
新しい名前にしても大丈夫そうではある。
戸籍の話とか、細かい事は複雑すぎるから省略しよう。

しかし、息子のツボというか、
こだわりが読み切れないところがあり、
嫌だ、といわれたら、説得するのが大変そうだなあ。

グズグズと考えてしまい、
ようやく切り出したのは初登園前日。

「明日からはお名前が○○くんに変わりま~す!
 おじいちゃんと一緒だよ。かっこいいよ。
 従兄姉のお兄ちゃんお姉ちゃんとも一緒。
 はい、練習してみよう!」
と畳み掛けた。

え~、と面倒臭そうにしながらも、
「○○くん!」と呼びかけると「はぁ~い!」と楽しそうに答えた。





翌日、園に着いてクラスメイトの前に立った時、
「○○です!」と自分で名乗ったので、びっくりした。
その苗字で呼ばれてもちゃんと反応していたし、
恐ろしい順応力だなあ~、と驚くばかりだった。

新生活の始まりに、新しい名前になる。
初めて会う人達に、新しい名前を名乗る。
きっと息子にとっても、その方が
納得できるいいタイミングだったのだろう。

知り合ってから数年経って
「名前が変わった。」
と告げて回ることの方が息子には
理解することも実行することも
相当難しかったかもしれない。

私にとっても、気が楽だった。
障がい児、というだけでも息子はマイノリティなのに、
さらに、ひとり親、というマイノリティジャンルを
増やしてしまったから。

人はマイノリティを怪しんだり、警戒したりする。
息子や私という人間を知ってもらってから
実はそのジャンルに属していると知られる方が
得策に思えたのだった。


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暮らしたいのはどっち?

2017.04.17.16:12





元夫は親権確定後も主張し続けた。
「絶対に息子は高学年には自分と暮らすことになる。」

ネットなどでは、
その年令の子の主張は親権決定に取り入れられる
と書かれていたのを見かけた。
実際には15歳以上とかになるらしいが。

とにもかくにも、
自分のしたいようにする息子にとっては、
年齢やら裁判所の裁定など関係ない。
もし息子が父親と暮らしたい、と思ったら
その考えを変えるのは難しいだろう、と
私は恐れおののいていた。

養育費は踏み倒しているが、
面会の間だけは高いプレゼントや
入場料の高いサイトにばかり連れて行った元夫。

息子に、一緒に暮せば何でも買ってやると言い続けた。
お母さんはケチだから何も買ってくれないだろう?とも。
ついに息子は学校の作文に
「お母さんは何も買ってくれないです。」と書いた。

「お父さんが6年生になったら一緒に暮らすって言ってたよ。」
私は言葉を失って、頷くのが精一杯だった。
「もう決まってるんだって。だからボク、お父さんと一緒に住むよ。」
清々しいほどカラッと宣言してきた。

私は父親の悪口は一切言わずにきた。
父親のことを話す時も、いつも笑顔で聞いていた。
だからこそ息子は屈託なく、何でも言う。
まあ、元々私に遠慮して何かを言うのを控える、
なんてことができる子でもないのだけれど。

だが、この時ばかりは私も伝えずには居られなかった。

お母さんとしては、ずーっと一緒にいたいと思ってる。
だけど、それが駄目なら、
心配だからせめて大人になるまでは一緒にいてほしい。

絞り出してもかすれた小さな声しか出てこなかった。
息子に否定されるのが怖くてすぐその場を離れた。

数日後、息子が
「ボク、お父さんとは大人になったら一緒に住む。」
ニコニコ弾むように言い出した。
「それまでずっとお母さんといる~。」
きゃきゃきゃっと笑って走っていってしまった。

あっけにとられた。
簡単に私の懸念は一瞬で吹き飛んだ。

私は私の気持ちを伝えるのを控えていたけれど、
息子にとっては両方の親から
「一緒に住みたい」と言ってもらえることは
単純に嬉しいことだったのだ。
実際にどちらと住むかということではなく、
実際に暮らせなくても両方と住みたい気持ちなのだ。

元夫が息子に一緒に住みたいとアピールすることも
息子にとっては良いことなのだと、
その後は気にならなくなった。


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拍子抜けするほど別居に適応

2017.04.06.11:15





家を出る日、意を決して息子にこう話した。

お父さんもお母さんも○○くんが大好きだよ。
でもお父さんとお母さんはもうどうしても一緒に暮らせない。
お母さんとニコニコ2人で住もうね。
お父さんとは時々会えるようにする。約束する。

わかったよ、と短く答えた息子は、むぎゅっと私を抱きしめた。
実際にはどのくらい理解しているのだろうか、と心配していたが、
その後問い直されることも、別居を嫌がることもなかった。

別居するにあたり、一番心配していたのは
息子の精神的ショック。

連日連夜パニックになったとしても
全身全霊で支える覚悟でいた。

しかし、である。
息子はめちゃめちゃニコニコしていた。
何日経っても、全くパニックにならなかった。
別居前は毎日のように1~2時間泣き叫んでいたのに。
おねしょもピタッとしなくなった。

元来、裏表もなく、
人に気を遣って本音を隠す芸当もできないはずだが、
実はできるのか?
本音を押し殺しているのか?

疑い、勘ぐりながら何日かまた経ったが、結局変わらない。

息子にとっても別居が良かったんだ。
そういう結論に落ち着いた。





別居前は、
「息子の前だけは仲が悪くないふりをしてくれ」と頼んでも
彼が息子の前で私を罵るのを止めなかった。
「自分の親がもう片方の親の悪口を聞いて
いい気持ちになる子どもはいない」
と言っても、
はぁ~?それじゃ何の解決にもならん!
と取り合ってもらえなかった。

息子の気持ちを考えられない彼は、
息子を自分の味方にするためだけに
息子に私の悪口を吹き込み続けた。
2人で「あっちいけ~」と私に言うこともあった。
私はひたすら黙っていた。

息子は板挟みになるストレスからは解消されたのだ。
彼から私の悪口を聞かなくて済むし。
私の「ニコニコ2人で暮らそうね」という言葉通り
暮らそうとしていたのだ。

園でもいい思いをしていなかったので
そこから解放された気持ちもあるだろう。

自閉症は環境の変化に弱いという。
しかし、息子の場合、
好きなおもちゃがあり、
好きなテレビが見ることができれば
他の事は楽しく受け入れられた。

もちろん、おもちゃは全部持ってきたし、
ブルーレイレコーダーはすぐ使えるように
購入しセッティングまでしておいた。
引っ越し前後の録画も念のため人に頼んで録っておいてもらった。
別居前の録画番組もちゃんとディスクに落として持ってきた。

引っ越しも以前に何度かしていたのが功を奏した。
息子にとって楽しいイベントと捉えてくれていた。

「おもちゃを箱に詰める係」に任命すると、
張り切ってドンドン詰めていった。
「ボクがおもちゃ入れた!」と後になってもずっと
誇らしげに胸を張っていた。

先行きに不安を抱えながらも、一番大事な
「息子の精神的安定」「笑顔」がアッサリと手に入り、
思い切って踏み出して良かったと
とりあえずは随分許された気分になった。


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犬が発達障がい児とその家族を救う?

2017.02.05.14:37





犬を飼うことで自閉症児のソーシャルスキルが向上する、
また、自閉症児の介護者のストレスが軽減する、
などと謳う研究発表を時々目にします。

実際にはどうなのか、
ワンコを飼っている我が家の場合をご紹介したいと思います。

◇『相手を思いやる気持ち』がかすかに息子に芽生えた

我が家のワンコは息子が生まれる前からいました。
子犬をしつける時に、好ましい行動は思いっきり褒め、
好ましくない行動は無視する、という方法があるのですが、
これは息子の教育には、いい予行演習になりました。

ウチのワンコは人懐っこくはないタイプ。
小型犬で、こわがりで警戒心が強いのです。
しかも、息子は生まれたときからワンコより大きく、
歩き始めた頃うっかりこのワンコを踏んづけてしまった事もあり、
ずっと“要注意人物”として警戒される対象のまま。

息子の方も、そんなにワンコに興味を持たず、
同じ屋根の下にはいても
お互いに距離を置いて過ごしてきました。

息子は「ワンコはちょっと怖い」と感じているらしく、
撫でるのも ままなりません。
排泄物は気持ち悪く感じてしまっていて、
処理はおろか見ることもできません。

よそのおウチに招かれてもわんちゃんがいたら一歩も入れず、
「お宅も飼っているのに??」と変な顔をされたこと数知れず。

でも、小学生になってから、少し可愛いと思えるようになったようで、
帰宅すると「ただいま~。お留守番が長くなってゴメンネ~。」
と声をかけたり、「ごはんは?って聞いてるよ。」と私に言ったり。

たまに息子が「おいで!」と声をかけても、
ワンコが困った顔して私を見、結局息子の方へは行けないです。
他のコマンドも息子だと全く聞きません。
ボスは私、と認識しているからなのかもしれません。

でも、息子がパタンと床で居眠りを始めたりすると、
そ~っとワンコが近づいて行ってしばらく息子を見つめ、
意を決したようにペロッと息子の手を舐めた途端
走って逃げる、なんて光景が見られるようになりました。

ものすごく時間がかかってますが、お互いに愛着は湧いていて、
相手を思いやる気持ちも確かにあるのだなとは思います。





◇私のストレスは確実に軽減してくれています

言葉の遅かった息子。会話が噛み合わない夫。
まともに意思の疎通を図ることができたのはワンコだけ、
という期間は何年もありました。

ワンコは人間の2~3歳児程度の知能があるそうです。
息子は検査によれば言語能力が3歳を超えたのは5~6歳以降。
その頃まで、ワンコの方が私の言葉を理解してくれていた。

不覚にも涙がでてしまった時は駆け寄って心配してくれたし、
息子に振り回される私を心配してか、
気がついたら息子が出かけた後や眠った後しか
「遊ぼ!」と誘ってこなくなった。
私のことを気遣ってくれるのは、このワンコだけ。
健気で可愛い存在。

◇息子が「ワン!」というようになった

息子がある時期、犬のものまねをするようになった。
オスワリやお手をしたり、私を舐めるようになった。

園の生活についていけない息子はおそらく、
オスワリをするだけで褒められるワンコになりたいと
思っているのだと気づいて驚愕した。

息子に、居てくれるだけでお母さんは嬉しい、
生まれてきてくれてありがとう、と
何度も伝え続けて、そのものまねは徐々に収束していった。

正直、ワンコの事を頼りにしていたことを
見抜かれた気もして後ろめたくも感じたのでした。





◇これから飼うことをお考えの方へ

子犬を飼うとトイレなどのしつけにしばらく大変です。
人間のトイトレよりははるかに楽に終わりますが、
お子さんに奔走しておられる方には、負担がかかります。
老犬になれば、介護が必要になる場合もあります。

人懐っこいワンコばかりではありません。
お子さんがうっかり踏んだら命に関わるワンコもいます。
ワンコが怖いお子さんもいます。

一緒に出かけられる場所も限られます。
子どもの遊び場はペット禁止の所が多く、
ペットの遊び場は幼児出入り禁止の所が多いです。

散歩に行くのも、息子のパニックをくぐり抜けての
至難の技になる日が毎日、試練のように続く時もあります。

確かに我が家はわずかながら息子の“アサーション”に
結果的には効果があったと思います。
私を精神的に救ってくれたのもワンコです。

でも、飼う時は、ワンコの幸せも絶対に考えて迎えて下さい。
ワンコに貰えるものだけでなく、
与えてあげるものも考えてほしいのです。

息子がパニックを起こしそうになると気配を感じて
ピューっと家の隅に逃げ込むワンコを見ると、
いつも胸が痛みます。
うちに来て幸せだったかな、と。
いや、必ず、幸せにしなければいけませんけれども。

覚悟さえすれば、あとはいいことばかりです。
散歩も今では愛犬とのデートとして何よりの楽しみですし、
家計をやりくりしてドッグフードをランクアップしてあげるのも
とにかく楽しいのです。
末永く、元気に一緒に過ごしてほしいと願っています。

ワンコを迎えることをご検討中の方々に、
いい出会いがありますように、お祈りしています。


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プロフィール

beamed on

Author:beamed on
ようこそお越しくださいました。
同じ診断名のお子さんでも、特性は様々ですね。全くご参考にならないこともあるかと思いますが、こどもの笑顔を保ちつつ、できるだけ多くを吸収してくれたら、としてきたことを、綴っていきたいと思っています。

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